夜翔異聞
 

     
the Dream to Corrode



〜rule

 「夢想幻蝕」のルール運用は、ガープスベーシックと百鬼夜翔を基本に、完訳版の上級戦闘ルールの一部と、百鬼の選択ルールをいくつかあわせて導入します。
 使用するルールには、幾つか変更を加えてあるものもあります。ここではそれらを含め、セッションの流れなどを解説します。


ハウスルール/マスタリング注意(GM必読)/事件の構造と規模/ゆめについて/あしきゆめとは/

☆ハウスルールについて
  夢想幻蝕ならではのハウスルールについて説明します。

恐怖判定について
 GM間で統一の取れていない場合もあるので、選択・ハウスルールも含めてここで説明します。
 恐怖判定は意思判定の一種なので14以上で失敗です。そして恐怖表を振る時にその失敗度を加えて結果を出しますが、目標値が14以上で失敗した場合には恐怖表から達成地を引いて結果を出すものとします。ただしこの場合も3以下になっても恐怖表4、5の結果を適用します。
 戦闘中などの恐怖を感じている暇が無い場合は恐怖判定に+5のボーナスもあるので、戦闘中に恐怖判定をさせる場合は気をつけてください。ただし、敵を目の前にして臨戦態勢でもまだ戦闘の始まっていない場合はこのボーナスはありません。

恐怖判定の頻度
 恐怖判定はすこしびっくりする程度の事では行いません。恐怖やショックで足がすくんだり動けなくなったりするほどの恐怖を目の当たりにした場合に行うものです。夢想幻蝕の場合は通常の妖魔/百鬼で言うところの『妖怪の抵抗力』を持っているため、『ゆめの存在』などのいわゆる妖怪扱いのものを見た場合、妖怪として恐怖判定をします。
 ただし、それ以外の場合…凄惨な殺人現場を見たり、死体を間近に見たり…と言った普通の場面では普通の人間と同じように恐怖判定をします。ただし、『特殊な背景/戦士の覚悟』を持っているか、基本セットに含まれている『夢幻会』のメンバーはGMの判断で恐怖判定を免除してください。既に何度も修羅場を潜り抜けているので、一般人なら恐怖で立ちすくむような場面でも「慣れ」ていて行動に支障が無いのです。

●戦闘のルール運用

 「夢想幻蝕」の戦闘ルールは、上級ルールと百鬼夜翔の選択ルールの一部を用います。へクスは使用しません。また簡略化の為、特別な場合を除いて速度差は考えません。
 基本的に採用する選択ルールはここに記されているものです。ただし、GMが認めれば、百鬼夜翔にある選択ルールを採用しても構いません。

・ターンとイニシアチブ
 戦闘は百鬼夜翔の個別ターンに従います。最初の1ターンだけは、戦闘開始から自分の行動順が回ってきて、次の自分の行動までが1ターンになります。
 行動順は、移動力順になります。ただしランニングは含まれません(つまり基本移動力−加重の端数切捨て)。妖力などで基本の移動力が増加するものは、増加したターン以降で順番が変動します。戦闘即応は、行動順を決めるときに+1のボーナスです。また、戦術が10レベルあれば、+1されます。

・妖力の集中・準備
 妖力の集中や準備は、出来るだけ厳密に扱います。基本的に、これらの集中や準備は戦闘が始まってからカウントするようにしてください。戦闘前のイベント中の集中は、特別な場合以外ではあまり認めるべきではありません。戦闘開始直後から妖力を発動させたい場合は、瞬間を取るべきでしょう。
 妖力の集中は、同じ時間で発動するもの同士であれば、纏めて集中する事ができます。

近接戦闘
 武器を持っている相手の近接間合い(C距離)に入る場合は意思判定に成功する必要があります。 失敗すると相手の隣接ヘクスで立ち止まってしまいます。
 また、体当たりを行う場合、振り向いて体当たりをするには敏捷判定に成功する必要があります。また、その場合は体勢が不十分であると考えて体力判定に-2です。

・跳ね起きる
 百鬼夜翔の追加ルールです。「軽業−5」判定に成功すると、転倒している状態から一気に飛び起きる事が出来ます。 この行動は、移動力を全て消費したものとして扱います。この為、「全力突撃」を選択すると、跳ね起きてすぐに攻撃する事が出来るようになります。

●戦闘オプション

・全力攻撃

全力攻撃の追加ダメージ
 全力攻撃のダメージ追加の効果を、異能を使った攻撃に限り+2から+3に変更します。

叩き付け
 全力攻撃のオプションの一つとして、武器を叩き付けて相手をよろけさせる攻撃を放つ事が出来ます。叩き付けは両手専用の重武器でのみ行えます。
 ダメージを+1して普通に攻撃を行います。相手は普通に能動防御が可能ですが、この攻撃を受けや止めてしまうと、体力の即決勝負を行います。この時、受けた武器が軽武器なら、攻撃側の体力に+2、中武器なら+1のボーナスがあります。攻撃側が勝つと相手はバランスを崩し、武器が非準備状態になって次のターンが終わるまで能動防御が-2されます。

薙ぎ払い
 全力攻撃のオプションの一つとして、薙ぎ払いは両手専用の重武器でのみ行えます。判定は通常通り武器判定で行うことにします。ダメージは半分ではなく-3になります。敵は避けの他に受けや止めも可能ですが、受け止めをしてもダメージを受けないですむだけで、跳ね飛ばされる判定は行います。この時、相手までの距離が即決勝負でのボーナスになります。

全力突撃 
 百鬼夜翔の選択ルールである全力突撃を導入します。防御を忘れて突撃する事により、移動力ギリギリまで移動して大振りにならず攻撃する事ができます。
 全力突撃は次の4つのオプションを選ぶことが出来ます。
 1) 技能レベル−1で移動して攻撃
 2) 技能レベル−5で移動して攻撃。ダメージは+2
 3) 技能レベル−5で攻撃後、同じ相手に対し体当たり(通常の判定)。
 4) 技能レベル−5でフェイントを行い、その効果を受けて体当たりの判定を行う。
 全力突撃による移動は、真正面の1方向にまっすぐしか移動できません。

・全力防御の追加
 全力防御の選択肢として、新たに3つのオプションを追加すします。
 一つは、防御に専念する事により、すべての能動防御に+2のボーナスを得る方法です。受けの場合、受け値が技能の2/3なら+3、1/3なら+1になります。また、フェイントに対してはボーナスはありません。
 2つ目は、全身を硬直させてダメージに耐える方法です。これを選択すると、防護点が1点上昇します。これは、頑強と同等の効果で、あらゆる攻撃に有効です。
 3つ目は、精神的な全力防御で、抵抗に専念する事により、そのターンの抵抗に+2のボーナスを得る事が出来ます。
 全力防御中は、近接戦闘での敏捷判定にも+3のボーナスがあります。

・後退防御
 後退防御は、「移動攻撃」および「一歩踏み出して〜」と付く行動をした場合には行なうことが出来ないものとします。
 また、GM判断で3ヘクス以上の長さを攻撃できるような攻撃に対しては無効としてもかまいません。

 

●連携技
 
戦闘では、仲間同士で協力することによって有効な攻撃を繰り出すことが出来ます。連携技を使用する時は、参加者が全員知力判定に成功する必要があります。連携は、一部を除き連携を行うものの中で一番遅いキャラクターに合わせて行動します。
 まず、初めに連携を行うものの中で一番早く行動する人が連携を宣言します。その時に、連携のメンバー全員が知力で判定します(この時、戦闘即応や戦術があればボーナスを得ます)。知力判定に成功したメンバーは自動的に行動順が一番遅い人の行動順まで待機状態になります。そして、一番遅い人の行動順がくると連携が発動になります。
 連携の発動に失敗した場合、特に指示がなければそのまま通常の行動を行えます。また、妖術を用いる連携は発動維持が前提になります。

・指揮
 連携発動の知力判定は指揮技能で代用することが出来ます。
 また、指揮技能を使う者が基点となって連携を行う場合、指揮技能に成功すれば指揮を受ける側は知力判定に指揮の成功度分のボーナスを得ることが出来ます。ただし、指揮技能に受ける諸々のペナルティはきちんと適用してください。
 実際の連携には参加せず、指揮だけを行うことも出来ます。ただしその場合、指揮者以外に最低2人は連携に参加している必要があるので最低人数として3人は必要になります。
 また、知力が低いキャラクターでも、<連携修練/種別>を取得することで、連携の成功率を上げることが出来ます。修練は、技能と同じように扱います。精神/易で、技能無し値が知力そのままになります。ただし、修練は特定の相手ごとに別の技能として習得しなければなりません。複数の相手と連携を行う場合、自分が持っている中で最も低い修練を基準として判定します。

・カバーリング
 カバーリング時は、移動していなければ全力防御を選択できます。カバーしている者は受けと止めを選択することはできますが、避けをすることはできません。また、空間そのものが変わる範囲攻撃でも全身で対象を庇うならカバーリングできますが、その場合能動防御はできず庇われる側も移動不能になります。
 カバーリングは、受動連携として特殊な発動処理をします。まず連携発動の宣言を行い判定します。そして、カバーする側の行動順が回った時点で連携が発動します。待機中に攻撃を受けても、カバーはまだ発動しません。カバーの効果は発動から1ターンの間続き、もし望むならそのまま継続可能です。
 ただし、カバーする相手と隣接できない場合カバーリングの効果を適用する事は出来ません。飛行している相手も地上からはカバー不能です。

・撹乱
 撹乱役が行動や妖術で相手を撹乱し、その隙を突いて攻撃します。白兵で相手の撹乱をする場合は相手の視界を遮蔽し、射撃(妖術)で撹乱をする場合は援護射撃という感じになります。視覚の無い相手には撹乱は通用しません。
 行動で撹乱する場合敵に隣接するヘクスまで接近する必要があり、撹乱者の攻撃技能か敏捷と相手の知力で即決勝負を行います。
 妖術の場合は、何かを打ち出す術を相手の目の前に打ち込みます。視覚効果のあるものであれば何でも構いません。妖術の精度と相手の知力で即決勝負を行ってください。連携に妖術を使用した場合は行動を消費したことになります。妖術に必要な行動や移動は行えますが、全力防御や狙い、集中などは行えません。
 成功すると、相手の回避を-2して連携者が攻撃できます。失敗している場合は相手の能動に+3のボーナスが付きます。

・一斉
 近接攻撃のみ選択できます。敵を囲んで全員で同時に攻撃します。
 連携参加者は皆武器の間合いに居なければなりません。連携が発動すると、全員がそれぞれ近接武器で攻撃を行います。この時、相手は能動防御に(連携人数-1)のペナルティを受けます。
 この連携は、連携発動に失敗しても全員が同時に攻撃を行います。ただし、一人でも失敗している場合は連携している相手からの攻撃に対し、能動に+3のボーナスが付いてしまいます。
 この連携は、指揮者を除いて最大でも3人までしか参加できません。

・攻撃連携
 特別な特殊効果はありませんが、誰かの行動を待ってから攻撃できるようになります。仲間の補助妖術の直後に攻撃したりといったことも出来ます。ただし、連携を行うと妖術を使用した場合でも行動を消費したことになります。妖術に必要な行動や移動は行えますが、全力防御や狙い、集中などは行えません。

その他の特殊連携
 GMが認めれば、複数キャラで連携として様々な行動を取らせることが出来ます。


☆GMの注意点

 「夢想幻蝕」では、基本的にPLとしてうぐいす庵内のセッションに参加した事のある人であれば、誰でもGMをすることが出来ます。
 ここでは、GMをする人への約束事と注意点を説明します。

●セッション開催と報告

・セッションの告知
 GMをする場合は、セッション予定表に開催日や募集人数、シナリオの方向性などを書いて告知します。
 告知する際は、募集するキャラクターのタイプ(学生か社会人か)などを必ず書いてください。また、終了予定時間もできるだけ書いた方が参加者への指針になります。オンラインでのセッションに不慣れな人はこちらのページを参考にしてみてください。

・セッション報告
 セッションが終わったら、必ず報告を行ってください。セッション報告はメールで行います。次のことを必ず守るようにしてください。
 メールタイトルにはわかりやすいように「セッション報告」と書いてください。メールには、セッションログを添付します。ログは未編集の物でも構いませんが、連続する物は必ず一纏めにし、名前を他のログとの区別が付くように日付のファイル名はさけてセッション名などをつかって半角英数でつけてくださいまた、ログを編集する場合は、編集済みログを参照してください。
 メール本文ログのトップには、必ず次の事を明記してください
 「セッション日時」「セッションタイトル」「GM名」「参加PC名」「配布した経験点・及び報酬」
 何らかの事情で複数のログを纏めて送る場合は、どのファイルがどのセッションのログなのかも分かるように書いてください。
 ログ更新などの迅速化のため、以上の点を守ってくださるようお願いします。

 

☆シナリオの注意点

シナリオを作成する時に、注意する点を以下で述べます。

●殺人事件
 殺人は、実際に起こる事件の中では最も重いものです。人が一人死ぬと言う事が周囲に与える影響は計り知れないものがあります。特にそれは、学校と言う場所において非常に大きなものとなります。学校と言う範囲は非常に狭く、そこで生活するものの多くは10代の若者であり、本来なら急に死亡するなどとは思われていない年代です。
  このような場所で起こった殺人は、周囲の印象に深く残るでしょう。一つの学校で何人も死亡者が出ると言うのは明らかに異常な事です。
 GMは、できる限り学校内における殺人は控えるようにシナリオを作ってください。犠牲者が必要な場合でも、できる限りPCたちに回避の術を与えておくべきです。できるなら、原因不明の昏睡レベルで抑えておくべきでしょう。
 事件の舞台を学校や町内に限る必要はありません。隣の市に遊びに行ったときに事件に遭遇する事もありうるでしょう(隣の市へは電車で20分も掛かりません)。狭い範囲で何度も殺人が起これば目立ちますが、広い範囲で考えれば殺人事件は毎日のように起こっています。

●人間(異能者を含む)を敵とする事件
  異能者の説明でもあるように異能者は特殊な存在であり、『ゆめの存在』と違ってPC達と同じ人間です。また人間同士の殺し合いになると問題が(特に、異能を持っているとはいえただの学生である夢群生徒たちに)ある上に、設定上限られた人数しか居ない貴重な異能者が減ってしまいかねないので、単発や突発などのシナリオで使うのは好ましくありません。ただしこれを完全に禁止してしまうとGMのシナリオ作成をあまりにも制限してしまうので、あくまで相手を殺す必要が無いか、実際に人死にを出すとしても三話〜四話程度のショートキャンペーンで、あらかじめシビアな展開があるかもしれないという但し書きを入れた形で参加者募集をするなら構いません。

●特殊なNPC
 シナリオを作る時、事情を知っているNPCで、既存のものでは合わないという事もありえるでしょう。セッションGMは、自分のシナリオで使用するNPCを自由に作成できます。ただし、そのように作成したNPCは、特定にPCに有利な関係となるものであってはなりません。(例えば、あるPCの親族で、お金持ちだったり有用な効果を及ぼすNPCを出す場合、そのPCがNPCをコネクションとして設定してないなら、有利な特徴となりえます)これらは、「そのGMの時だけ…」と言う但し書き付きで合ってもダメです。
 全てのPCに対して有用な効果を及ぼすNPCの場合は、GMに掛け合ってNPCリストに登録してください。これらのNPCは、セッションGMが許可すればどのセッションでも協力を得ることができます。(場合によっては未使用CPが必要です)
 学園に所属する異能者のNPCを作る場合は注意してください。基本的に学園内の異能者の設定はPCに任せるべきです。でないと、PCの位置を脅かしかねないからです。多くの場合、NPC異能者は学外の者か、極々ささやかな能力しか持たない者であるべきです。

●特殊な組織
 NPC同じように、より大きな組織というNPCの団体についても同じような制限がかかります。
 PCや夢幻会と敵対するある程度大きな組織として既に「竜頭」や「護国会武闘派残党」「魔術協会」などがあるので、完全にオリジナルな新組織は避けてください。ただし、まったく禁止するというわけではなく、要相談で上記の組織の一部として設定をすり合わせることが出来るのならば問題ありません。一部とは言っても、下部組織が好き勝手に動く事はよくあることなのです。
※組織についての設定はまだ完成していません。意欲的にそれらを使いたいGMからのアイデアを募集しています。

※問題のあるシナリオについて
 セッションにおいて、設定に矛盾を起こしたり、キャラクターの方向性を意に沿わない方向で崩壊させてしまったりした場合、管理者の権限でそのセッションを「無かった事」にする場合があります。予めご了承ください。


☆セッション傾向について

 夢想幻蝕の基本的なセッションは、主に街に出現する『あしきゆめ』に関する情報を学生や街の住民の噂、街にある資料や歴史史跡などから集めながら、『あしきゆめ』の現れる原因を突き止め、元を断つという流れになります。
  また、場合によっては『ゆめの侵蝕』により街の一部が異界化したり、逆にPC達が『ゆめ』の世界に取り込まれてしまうこともありえます。
 『あしきゆめ』の出現原因はさまざまで、誰かの暗き思念がたまたま力を得たり、多くの人間の噂がいつの間にか実体化してしまったり、また過去に封印された『あしきゆめ』が何らかのきっかけで蘇ってしまうこともあります。

●事件の大きさ

 事件は主に夜舞市内で生じます。必ずしも場所の広さが事件の大きさと比例する訳ではありません。発生場所が学校でも、世界を揺るがすような大事件であることもあれば、近隣市内を巻き込んだ取るに足らない事件もあるでしょう。PCの大半が学生と言うこともあり、敢えて事件を起こさずとも季節や学園のイベントをメインにしたセッションでもまったく問題はありません。

・学園の日常
  GMは望むならば陰惨な事件を起こさず、PC達の日常を描いても構いません。学園という舞台が用意されているので、ギャグシナリオやラブコメディなどの息抜きや、修学旅行や学園祭と言ったPCの平穏な日常をしっかりセッションで行う事で、より世界に深みを出すことが出来るかもしれません。
 また、完全にギャグなシナリオの場合、面白くするためであればある程度のルールや細かい拘り、背景の縛りから飛び出してもかまいません。ただしその場合はあくまで『番外』として他の通常シナリオとリンクさせたりはしないようにしてください。ギャグシナリオ同士のリンクなどは問題ありません。

・日常の境界
 遥か昔からずっと繰り広げられてきた『あしきゆめ』との戦いで最も多いのが、ふとしたきっかけで日常の中に『ゆめ』の力が出現してしまうと言った事件です。日常的なシーンに噂話などで事件の断片情報が与えられたり、実際に事件に巻き込まれたりする形になります。通常、学園や近所で起こる小さな事件がメインです。夢群神社の巫女である城山三咲や、事件の噂を聞いたNPCがメーリングリストなどで協力を求めてくるなどで、最も頻繁に起こるタイプの事件を扱うシナリオです。

・過去の怨念
 『あしきゆめ』との戦いは、人類が文明を持った頃から長きに渡って繰り広げられています。その過程の中で、『よきゆめ』に敗れて封印された『あしきゆめ』なども出ます。これらは通常、遺跡などに封印されていたりしますが、近年の自然破壊や開発事業、また誰かのふとした悪戯などにより封印が破られてしまうことがあります。そうして出てきた『あしきゆめ』は、通常の思念より強力な力を持っていることが良くあります。
 夢幻会や、夢群学園で異能者を取りまとめている明宮一臣がPC達を招集して事件解決の依頼を受けると言う形で始まる事が多いでしょう。ある程度派手なセッションをしたい人向けです。

・計算された悪意
 『ゆめの異能者』の中には、その力を利己的に利用しようとするものも存在します。これらの者たちは、個々で動く他、組織を作って動く事もあります。こういった組織は、裏で糸を引いて悪意を作り出したり、封印された『あしきゆめ』を蘇らせたりしようとしています。
 シナリオバリエーション上ここで例にあげますが、組織関係のシナリオは複雑になりがちのため、人間相手や組織を出す場合はシナリオの注意点を読んだ上で事前にGMから許可を受けてください。

・ゆめの侵蝕
 『ゆめの侵蝕』は、力を持った『ゆめ』が空間にまで影響を与えてしまう現象です。『侵蝕』は通常は滅多に起こらない現象ですが、夜舞市ではここ数年、異常なペースで発生するようになっています。 他のシナリオでも小規模な『ゆめの侵蝕』がありえますが、ここではより広範囲なものを想定しています。
 『侵蝕』が起こると、その範囲の世界は、『現実』の法則とは異なる法則に支配されます。その範囲から抜け出せなくなったり、何度も同じ出来事が繰り返されたり――こう言った現象は、『侵蝕』の“原因”となるものを排除するまで続きます。
 『侵蝕』を題材としたシナリオは、様々なパターンが考えられます。小規模なものでは単純に野外や遺跡などの場所そのものが別世界の法則に支配されたり、建物の内部が迷路になったり。大きなものでは町一つが丸ごと侵蝕されたり、池や扉などから隠れ里のような場所に引き込まれたりするので、現実とかけ離れた派手なセッションを行う事が出来ます。


☆『ゆめ』の扱い

 シナリオの中心となる『ゆめ』についてのGM向けの注意点を以下で述べます。基本原則を逸脱しなければ、GMは自由にいろんなタイプの『ゆめ』を出すことができます。あわせて背景世界のゆめの説明も参考にしてください。

●ありえないものは永続しない
 夢想幻蝕世界の最も基本的な法則です。『ゆめ』によって生み出された「ありえないもの」は、基本的にこの世界に留まり続ける事はできません。
 『ゆめ』によって生み出されたものは、存在する限り『力』を消費し続けます。消費する力は、その存在の高度さに比例して増えていきます。一つの「想い」だけに縛られた、何かに取り付いて実体化する自律意識のない存在ならそれほどでもありませんが、独自で存在し、自分で意思を持ち、考えて行動するような高度な存在は、僅かな間でも莫大な力を必要とします。力の供給が途絶えれば、それらの「ゆめ」は、現実世界から消え去る他はありません。

●『ゆめ』を構成する基本要素
 『ゆめ』の存在を構成するには、3つの要素が必要です。
 まず一つ目は、核となる「ゆめ」――人の想いです。『ゆめ』がこの世界に生まれるには、必ず何らかの想いが必要になります。そして、この想いによって、生まれてくる『ゆめ』が大きく左右されます。何かに対する想いや拘り、何かを恐れたり信じる心などといったものです。これには複数の人の想いの集合体…つまり噂なども含まれます。
 『ゆめ』によって生まれるものは、核となる「ゆめ」が無くなれば消滅します。逆に言えば、核となる「ゆめ」が消滅ない限り完全には消滅しないことになります。いわゆる「封印されたゆめ」と呼ばれるものは、この「ゆめ」が強すぎて消滅せず、何らかの力ときっかけが与えられれば復活しかねない状態のものを指します。
 次に必要なのは、「ゆめ」に与えられる『力』です。『ゆめ』が存在するための力は別の世界からこの現世界へと染み込み、時には流れ込んでくる『力』そのもので、基本的にそこには何の意思も意図もありません。核となる人の想いがその力を取り込むのか、それとも力が想いに引き寄せられるのか、その二つが結びつく事によって「ゆめ」は力を持ち存在することが可能になります。
 現在の夜舞市は、この『力』が発生しやすい環境になっています。その為、周りに比べても、ちょっとした想いやきっかけから『ゆめ』を生み出し兼ねない場所となっています。
 最後に必要なものは、「きっかけ」です。『ゆめ』がこの世界に現出するのは、ちょうど風船で例える事ができます。風船のゴムは、「ゆめ」と現実の世界を隔てる境界です。この「ゆめ」に空気=『力』が吹き込まれることで、単なる想いだった「ゆめ」は、力を持った『ゆめ』になって行きます。しかし、『ゆめ』はそのままでは、現実との境界に阻まれてこの世界に現出することはできません。『ゆめ』の力を隔てる境界を破るためには、針となる何らかの「きっかけ」が必要なのです。「きっかけ」は様々です。何かの事件や事故の場合もあれば、『ゆめ』そのものがきっかけになることもあります。また、世界には「きっかけ」として特別に生み出されたアイテムなども存在します(『黒』の写本など)。きっかけは、必ずしも必須ではありません。風船を割るのに、外的な要因に拠らず、容量以上の空気を送り込むという手段があるのと同じです。
※世界観を省いた補足説明
  雰囲気を出すために色々言っていますが、ぶっちゃけ妖魔/百鬼世界の妖怪の生まれ方とあまり変わりません。妖怪を生み出す噂などの人間の想いはそのままに生命エネルギーを異界からの力に置き換え、偶然妖怪が生まれるのをGMの都合や設定でいつ生まれるかというきっかけを必要にしているだけなのです。
  同じ妖怪がすこしずつ異なった噂から生まれて複数存在する場合それぞれが異なる個体であったり、妖怪が一度死んで蘇っても噂によって歪められて異なった存在になってしまうように、同一の存在がないというところも同じです。記憶は受け継がれる事もありますが、それも保存された記憶をそのまま蘇らせるだけなのが違いでしょうか。

●同一の存在は蘇らない
 妖魔/百鬼で「本人の幽霊にしか見えない妖怪」が新しく生まれる形でしか幽霊は存在できないのと似ていますが、当事者にとってはそれが本物と変わる事は無いかもしれないのもまた事実です。
 「有名な噂から発生する高名な妖怪」という形で現出する『ゆめの存在』は、いかにも本物のように振舞うかもしれませんが実際はあたらしく生まれたものになります。伝承として『名前』と『目的』と『出現条件』が人々に広まり、現象が起こるのに似て条件がそろってしまうと「生まれる」のであって「蘇る」のではないのです。
 これらは同じ存在が蘇ったかのように見えますが、あくまでも注ぎ込まれた力が伝説上の存在の形を模しただけで、擬似人格や行動理念、能力が同じだとしても決して同一存在ではありえないという事に注意してください。
※『ゆめの住人』とよばれる『ゆめの存在』だけは妖魔/百鬼世界で言うところの本物の妖怪として存在します。

●『ゆめの住人』の取り扱い
 『ゆめ』によって生み出された「ありえないもの」の中で最たるものが、『ゆめの住人』です。データ的に言えば600CP以上で作られた本物の妖怪という存在であり、セッションに登場する事はまさしく「ありえません」。
 『ゆめの住人』が特殊なのは、普通の『ゆめの存在』と違って簡単に消滅してしまわないことです。とはいってもそのような『ゆめの住人』でも長時間現世界にとどまることはできません。何らかの「条件が整ったときだけ」出現して、目的を果たしたらまた消える場合が殆どです。
 どちらにせよ『ゆめの住人』がこの世界に現出してしまった場合、それをそのままにしておくのは大変危険です。『ゆめの住人』は、世界にとって本来「ありえないもの」なので存在しているだけで特異点となり、新たな『ゆめ』事件や、『ゆめの侵蝕』を引き起こしてしまう事がありえるからです。
 ちなみに、夢想樹のような存在はそう言った『ゆめ住人』の中でも例外的な存在です。夢想樹も、樹に対する様々な「ゆめ」が気脈によって力を得て、この世界に現出した『ゆめの住人』ですが、夢想樹はすでに完全にこの土地の自然と一体化しており、世界の一部として溶け込んでいます。言うなればこの世界の見ている夢そのものと言ってもいいかもしれません。この為、夢想樹を消滅させることはかえって夜舞に害を及ぼすことになるのです。
※現在はメインシナリオの進行によりその夢想樹は消滅してしまっていて、夢群の地はさらに不安定な場所になっています。

●『ゆめの住人』のランク
 『ゆめ』によって生み出される存在は、その出現形態によってある程度ランク付けされています。ランクが高ければ高いほどその存在を維持する為に沢山のエネルギーが必要であり、この世界に出現するのが難しくなります。
 ゆめの住人の存在を評価する尺度は、主に5つあります。
 1つ目は、単独で出現出来るかどうかです。きちんと物質を備えた体を単独で出現させることの出来る存在は、それだけで強力です。普通の場合は、この世界に存在するのに何らかの物質や人間などを媒介として現れます。
 2つ目は、現れる『姿』です。『ゆめ』の姿は、人間に与える畏怖や根源的な恐怖の強さで評価されます。単なる嫌悪感などは、出来の悪い『ゆめ』と見られます。また、人間の姿を取ることのできる者は、それだけで高いランクになります(憑依や幽霊などの霊体、人形・絵画などのモチーフがあるものは除かれる)
 3つ目は、場に縛られる存在かどうかです。ある限定された1つの場所で条件が整ったときのみ出現するような存在は、強力であってもランクは低めになります。
 4つ目は、その存在の知性です。知性は、高ければ高いほどランクが上がります。高ランクの存在は、自分の意思を持ち、高い知性で策略を用いることもあります。逆に低ランクであれば、自分の「ゆめ」のみに支配された意思の無い現象と化す事も少なくありません。
 5つ目は、その戦闘力や特殊能力です。強ければランクが高いと言う訳でもありませんが、高ランクであれば高い戦闘能力や特殊能力を持ちます。
 これら5つの項目の総合評価で、その『ゆめ住人』のランクが決まります。



☆セッションで登場する敵について

●「あしきゆめ」の強さ

・小さき悪意
 最も弱い部類のザコキャラとしての『あしきゆめ』です。戦闘時の足止めや嫌がらせ程度にしかなりませんが、ボス敵を単独で出すと何も出来ないままタコ殴りにされてあっという間に決着がついてしまうので割と重要です。
 殆どが無生物や植物、小動物などを取り込んで実体化します。戦闘力は1Dクラスの攻撃力と防護点2に20HPくらいの耐久力、10前後の抵抗力で弱点を突けばあっさり倒せるクラスです。

・暗き想い
 シナリオのボスとしての敵です。単体だと集中攻撃されるので攻撃力を下げて複数出したり、HPを上げて複数回攻撃をさせるなどの工夫が必要です。ダメージが2Dを超える切り刺し攻撃はたまに致命的な事になるので注意しましょう。
 蓄積された悪意や強い怨念、また人の噂や不安から実体化する、最も被害が多いタイプです。複数の無生物や小動物を取り込むほか、人間や動物に憑依したり、稀にエネルギー体として出現することもあります。
 2Dクラスの攻撃と防護5前後で100HPくらいの耐久力、12前後の抵抗力、この辺りから稀に非実体やDBなしも持っています。絡め手を使うことも多く、弱点を知らないと苦戦するかもしれません。
 回避や防護点が低くHP200以上の耐久型ボスや、その逆で回避か防護点、もしくは両方が高いがHPの低い回避型ボスなど、ボス敵の特色を出すのもいいでしょう。

・終わらない悪夢
 強力な『あしきゆめ』で、非常に強い思念や長年に渡って蓄積された想いが、何らかのきっかけで一気に力を持ちこの世に現れた存在です。物体を取り込むだけでなく、思念の力で強化したり、周辺の塵などを集めて再構成し、よりしろ無しで強力な肉体を作ります。また、エネルギー体のまま出現することもあります。2Dで複数回もしくは3Dクラスの攻撃力、防護8前後にHP200以上の耐久力、15前後の抵抗力。単純な戦闘力だけでなく、厄介な特殊能力を持っていることが殆どで、弱点を知らないと勝ち目が薄いです。また、ボス属性(抵抗クリット、ファンブル無効)を持つものもいます。

 『あしきゆめ』はしばしば特定の系統に対する妖術抵抗や防護点などを持ちます。基本的には、被害の大きいものにのみ高い抵抗を持たせることが理想で、何でもかんでも抵抗できるようにすべきではないでしょう。あしきゆめはHP0になると霧散します。その際、取り込まれたものが無事かどうかは状況によります。大抵は死亡判定を行うレベルの負傷です。『あしきゆめの』HPを超えて受けた分のダメージはそのまま本体に行くとしても構いません。その場合はきちんとその事を描写などで教えて、PC達の攻撃の手を緩めるために使いましょう。

 

●あしきゆめの種類と出現頻度

・『ゆめに憑かれしもの』(出現率:高)
  人の思念や噂が蓄積された時に、ちょっとしたきっかけ――例えば偶然目の前で噂とそっくりな状況が再現された時など――で、『あしきゆめ』に取り憑かれてしまった人間や動物などです。これらは自分でも気付かないうちに『ゆめ』に支配されて、事件を引き起こしていきます。この類の『ゆめ』は、普段は触媒自身が行動し、必要なときのみ『ゆめ』が表に現れます。最終的には力を暴走させ、取り憑いたものを『あしきゆめ』化させるので厄介です。しかし、『ゆめ』の原因を取り除けば消滅し、取り憑かれたものも解放されます。

・『実現した噂』(出現率:高)
  『ゆめ』に憑かれしものと似ていますが、こちらは人や物を媒介にせず、「状況」を媒介にして現れます。いわゆる小規模な『侵蝕』の状態ですが、頻繁と思われるので別に表記します。噂などで定められた条件を満たさない限りは、『ゆめ』は一切実体化しません(痕跡などは残るかもしれませんが)。そして、状況が満たされた時のみ実体化し、噂を再現していくのです。この類の『ゆめ』は、正確な条件を把握しなければ解決が難しいため、調査が必要となります。しかし、条件さえ掴めば解決はそれほど難しくないので、難度は低めです。

・『呪われた品物』(出現率:中)
  暗き思念や噂などが、人ではなく物に宿ったものです。この『ゆめ』には2つのパターンがあります。 一つは、品物自体が『ゆめ』の事件を引き起こす場合です。生き人形が人を襲ったり、呪われた宝石が持ち主に不幸を運んだり、と言ったものです。この場合は、単純に品物を始末すれば済むことも多く、比較的解決は難しくありません。 もう一つが、想いが宿った品物が、人を操ってしまう場合です。この場合、『ゆめ』に憑かれしものと同じ状態になる為、多少厄介です。ただし、その場合でも、品物だけを引き剥がすことが出来れば解決することも多いため、難度はそれほど高くないでしょう。

・『封印されたゆめ』(出現率:低〜稀)
  過去に現れた『あしきゆめ』が完全に消滅させられずに、場所や物などに封印されているものです。これらの『ゆめ』は、偶然、または故意によって封印を解かれると、この世界に再び現れてしまいます。この『ゆめ』には現れるパターンが2つあります。 一つは、封印を解いた人物や、触媒などに宿って出現するパターンです。『ゆめ』に憑かれしものと同じ状態になりますが、遥かに強力です。 もう一つは、直接実体化して出現するパターンです。このパターンで実体化した『ゆめ』には、まともにぶつかって勝利できることはほぼありません。『ゆめ』の弱点を用意でもしない限りは対応できないでしょう。しかし、その分存在の維持に必要なエネルギーは並大抵のものではなく、事前に儀式などで出現場所を侵蝕された空間にでもしておかない限りは、一瞬で消滅してしまうでしょう。不完全な召還である場合は、幾らか力が弱まっているかもしれません。

・『ゆめの住人』(出現率:無)
  異世界に住むいわゆる妖怪などの空想の産物です。このタイプの『ゆめ』は通常セッションに出現することはありません。
※妖魔/百鬼で言う所の隠里に住む、長い時間を生きている妖怪などのようなものです。規格外の存在ですが、バリエーションを広げたりするために設定だけは作っておきます。出現率:無の通り、『ゆめの住人』を出すのは基本的に禁止です。アイテムや伝説の由来などのシナリオの背景設定に利用する程度にしてください。

・侵蝕(出現率:中〜低)
 侵蝕は、『ゆめ』の力が人や物ではなく空間そのものを変質させる現象です。噂の実現も侵蝕の一種です。 想いや怨念の蓄積などが、ふとしたきっかけで爆発してその空間を異界化させてしまいます。空間が異界化するのではなく、その空間に居たものたちが『ゆめ』の世界に取り込まれる場合もあります。きっかけは様々で、偶然蓄積された怨念に適合するようなことがその場所で起こったと言うことなどがあげられます。また、強力な『ゆめ』の出現がきっかけになることもあります。 侵蝕は、基本的に“原因”となるものを排除するまで続きます。しかし、大抵の場合、侵蝕中の出来事は一般の人間には認識されません。場合によっては、完全に元の通りに戻っていることもあります。


●敵としての人間

 人々を「あしきゆめ」から救うため戦うPC達ですが、時に守るべき人間と争わなければいけない場合もあります。「あしきゆめ」に操られてしまった人間もいれば、完全に自分の利害だけでPCたちを襲ってくるものもいます。また、場合によっては公安を相手にしなければならないこともあるでしょう。これらの敵を出す場合には注意点がありますのでシナリオの注意点の方も参照してください。
 人間との戦いも、「あしきゆめ」と基本的には同じです。「ゆめ」の力は、広まると厄介なことになるので出来るだけ隠さねばなりません。主に格闘や間に合わせの武器での戦闘になるでしょう。人間からの攻撃に対しては、自我境界による防護点は意味をなしません。
 下手に相手を殺してしまうと明らかにまずいことになるでしょう。「ゆめの侵蝕」した世界での事なら生き返ることはありますが、100%そうなるとは限りません。
 操られた人間なら、気絶させるか原因を排除することで元に戻せます。「あしきゆめ」に取り込まれてしまった場合は厄介です。「あしきゆめ」自体はHPが0になれば消滅しますが、それまでに本体が受けた負傷でにより死亡してしまうこともありえます。セッションGMは、取り込まれた人間が死ぬかどうかは自由に決めて構いません。ただしその際、PCがただの人殺しにならないように十分注意してください。出来る限り生き残る選択肢を用意する必要があります。

●敵対する『異能者』

 『異能者』の全てが、『ゆめ』の力を周りの為に使おうとする訳ではありません。中には、『ゆめ』の力を使って己の野望を満たそうとするものも存在します。通常、そう言った欲などに流されてしまった者は、しばしば力を暴走させて『あしきゆめ』化してしまいますが、中には強い意志力で力を制御し、密かに力を振るうものも居ます。
 また、敵対する『異能者』が必ずしも悪しき欲望を抱いているとは限りません。何らかの思想の違いで対立が起こる事もあるでしょう。
 こう言った異能者との戦いは、直接対決になると一瞬で決着がつく事があります。『異能者』はあくまで生身の人間なので、『あしきゆめ』と比べて耐久力が大幅に劣るからです。また、特殊な能力がない限り通常攻撃に対する耐性は人間と代わりがない為、そう言った攻撃で決着がつく事もあります。
 しかし、こう言った敵はある意味で『あしきゆめ』より厄介です。彼らはしばしば普通の人間として生活しており、自分の能力が知れることを極力避けています。また、『ゆめ』に支配された人間と違い、非常に打算的な動きをすることも多い為、正体が分かることには多くの犠牲者が出ていることも良くあります。また、組織を作ったりするのも特徴です。人間の敵は、最終的に『人間』なのです。


 

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