夢を見る。

 何度も、何度も繰り返される別れの場面。

 夢の中の俺は、いつまでも泣き続けている。

 だんだん失われていく少女の体温をにがさぬように強く抱きしめる。

 不思議と安らかそうな顔をして、俺の腕の中で息を引き取った少女。

 もう、二度と言葉を交わす事は出来ないのだ。そう思うと再び涙が

れ出し視界を歪めていく。

 幾度も繰り返される光景。だが、記憶は断片的で、少女の名前も思

出せない。あるのはただ後悔と、悲しみと、思い出せない記憶に対する

もどかしさだけ。

 流れ落ちる涙の雫がまた一つ、少女の頬に落ちた。

 ・・・これは夢。

 いつか見た、夢。

 頬を濡らす涙はいつしか雨に変わる。

 激しさを増す雨音が全てを忘却の淵へと流し去ってしまう・・・