TRPG四方山話

   コラムモドキです。個人的に適当に…

最終更新日
 2002/--/--
 

 

TRPGって? その1

 ロールプレイングゲームってなんですか?

 ジャンルを特定せずにそう尋ねられて簡潔に一言で説明するとします。私ならば『架空の世界で架空のキャラクターになりきって遊ぶゲーム』だとか、『判定役(ルール)の居る(有る)ごっこ遊び』だ…などの説明をすると思います。ロールプレイングゲームという名前そのままに、『ロールプレイ』をしながらするゲームですね。ゲームだからこそルールがあるのは当然ですが、同時に『ロールプレイ』をするという事も同じように重要な要素だといえると思います。

 最近発売されるTRPGの特徴として、お約束でドラマチックな展開を個性の強いキャラクターで演じるゲームや、キャラクターのヒロイックな行動・発言によってボーナスポイントを貯めるルールのあるゲーム、ストレートに演技をする事をルールで求めるゲームが増えていると思います。乱暴に一まとめにしてしまえばこれらは皆、ロールプレイを強要する…もしくはそうまで言わないでもロールプレイをしないと不利になったり楽しめないというルールです。こういうルールが多く発売されるということは、ロールプレイ重視のプレイが主流なのでしょうか?
 あ、そこのあなた。「TRPGは好きだけど演技って苦手だなあ…」とか「格好いいセリフ言ったり演じたりって苦手だな…」とか考えていませんか?私は『ロールプレイ』とは言いましたが、誰もそんな事を求めているのではありません。そもそも、あなただってTRPGしているのならば普段ロールプレイをしているはずじゃありませんか?

 では、『ロールプレイ』ってなんでしょう?
  ロールをプレイする…よく言われる例が役割演技というものです。つまり、そのキャラクターの役割をはたしつつ演技をするということですね。この辺がわかりにくい理由に英語から日本語への変換が上手くいっていない…言い換えれば直訳がすぎるという事があると思います。元々曖昧に複数の意味を持っているはずの言葉が、直訳することによってひとつの意味しか持てなくなってしまったようなものです。
 ロールプレイとは役割を演ずる事であり、また同時に役を演ずる事でもあります。TRPG用語なども使って言い換えると、クラス(職業)やレイス(種族)と過去設定などの、データ的に設定されたPC(プレイヤーキャラクター)の立場を演ずることであり、なおかつそのPCの内面的データ…すなわちアライメント(属性性格)や、性格設定などPL(プレイヤー)の人格とは違う他人であるPCの考え方や口調などそのPCの個性を演ずるという事であると思います。
 便宜上、ここでは前者をそのまま『ロールプレイ』。後者を個性という意味での『キャラクタープレイ』と称しておきますが、この両方を含むのがロールプレイングゲームで言う所のロールプレイだと思います。
 さきほど言ったようにロールプレイ重視なTRPGとはいえ、誰もキャラクタープレイばかりを強要しているのではないという事です。確かにセリフをPCに喋らせればわかりやすいし派手です。でもロールプレイしたい事を表現するのにいちいちセリフで叫ばなくてはならないという事はありませんし、むしろセリフばかりでロールプレイするのは誉められたことではないでしょう。ここで、例えば小説を読んでいると考えてみてください。格好の良いセリフばかりがずらずらと並ぶ余白の目立つ小説と、セリフこそ多くはないもののそのキャラクターの心理・状況描写のちゃんとしてある小説。いったいどちらがより強い印象を与えることができるでしょうか?

 『キャラクタープレイ』も勿論ロールプレイの一種ですし、PCを演じる上では非常に重要な要素です。ですがそればかりでは言ったもの勝ちになったり言動に行動が伴わない口だけなプレイになってしまう可能性もあります。同様にいくら『ロールプレイ』が必要だといっても自分に与えられた役割を淡々と判定し、行動説明だけでこなしても全然印象には残らないプレイになるでしょう(クリティカルが毎回出てGMの目論見を全て破壊したとかならば有る意味印象には残るでしょうが…)。 要はどちらも程々にこなそう…という至極まっとうなつまらない意見になるのですが、そういうつまらない事こそが大事なのです(笑)。

 最後に、ここではあまり深く触れなかったけれど『ロールプレイングゲーム』のゲームの部分。ロールプレイ部分の結論と同じで悪いのですが、ここもやはりロールプレイ部分もゲーム部分もバランス良くこなそう…という事しかありません。ゲームとしての判定のないロールプレイングゲームはただのなりきりごっこ遊びか、脚本の無い演劇でしかありません。逆にゲームのルール至上主義でロールプレイの入り込む余裕のないロールプレイング(?)ゲームはただのシミュレーションゲームの亜種に逆戻りしてしまうだけです。
  元々はゲームの一種類であったシミュレーションゲームで使われる無数に存在する駒の一つに焦点をあてて主役であるPCにし、無数の駒の一つには不要であった細かい設定を加え、さらにその駒を人間(もしくは意思を持つ生物)らしくするためにロールプレイという概念を付け加えて『ロールプレイングゲーム』というものになっているのです。遊ぶ人たちによってはそれがどちらかに偏ることはあっても、どちらかの要素を切り捨てた瞬間それは『ロールプレイングゲーム』では無くなってしまうのではないでしょうか。

 

TRPGって? その2

 こちらでは複数の参加者がいるゲームとしての『ロールプレイングゲーム』から『ロールプレイ』について考えてみたいと思います。

 TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)はGMと複数のPLが集まってするゲームです。ゲームといっても勝敗のある競技ではなく、遊戯という意味でのゲームだというのが一番重要なポイントです。つまり、GMとPLはもちろんPL同士も対立するべきものではないという事です(まぁ、例外的にそういうセッションの組み方も有りますし、遊び方の一つとしては可能ですが)。
  NPCとPC。もしくは好ましくないことですがPC同士が対立してもそれはあくまでゲームの中の話で、ロールプレイとして言い争うとしても、PL同士には関係の無い事なのです。勝敗が無いとは言いましたが、あえて勝敗を付けるというならば、勝利条件はTRPGのはセッションを成功させ楽しむ事。敗北条件はセッションが失敗し参加者が楽しめない事。参加者全員が勝者であるか敗者であるかだけで誰か一人が勝つという事は有りませんし、あるべきではないでしょう。
  TRPGの楽しみ方とは個人で楽しむのではなく全員で楽しむ事だと思います。言い換えてみれば、ただ楽しませてもらうだけではなく、如何に自分以外の参加者(GMも含む)をも楽しませる事ができたか…という事ですね。まずはこのへんを大前提として覚えておいてください。

 さて、TRPGでするロールプレイという部分は確かに集団の中で特定の役割を果たすという他人と関わる形のロールプレイもあるのですが大抵はあくまで自分のPC個人を演じる事がメインです。そして、会話がメインであるTRPGの性質上、誰かがロールプレイをしている間はGMとロールプレイしている本人か、限られたPLだけしかゲームに参加出来ません。これはもうTRPGの欠点の一つではあるのですが、実際どうしようもありません(^^;; GMは一人しかいないですし、もし処理できても同じPC達が複数の会話・行動を同時にこなすというのは非常に不自然です。
 つまり、一人でロールプレイ…特に、個性を演じるというキャラクタープレイ…を理由に延々と出番を取り続けるのは他のPLに観客であることを強いる行為なのです。「あんですと?じゃあ見せ場で活躍しちゃいけないの?」…勿論、そこが見せ場であるならば誰もが自分のPCを活躍させたいでしょう。シナリオ的に、もしくは役割的にその出番がPCに向けられているならば他のPLも文句は言わないでしょうし、あなたのPCを活躍させる事は何も問題ありません。ですが、もしそれが他の人に相応しいシチュエーションだったり、あなたの三回目の活躍の場だったらどうでしょう?先程も言った通り、誰もが自分のPCを活躍させたいと思っているのですから、その活躍のチャンスを人に奪われたりまったく出番が無かったりするとそのPLは楽しめません。
 ですが、ロールプレイとは何も自分が主役になるためだけのものではありません。他人(他のPC)を立てるロールプレイだって可能だし、有る意味そういうロールプレイで個性を出す事に成功する事によって目立ちたがりなだけなキャラクターでは出せない魅力を発揮することもできるのです(まあ、もし参加者が初心者ならばそこまで気を使わせるというのは難しいかもしれませんけど…^^;)。
 ロールプレイとは、過ぎればセッション進行に支障をきたしかねないと同時にTRPGの大きな魅力の一つでもあります。セッションという『料理』を完成させるための『スパイス』のようなものだと考え、入れすぎたりしないようにしましょう。
スパイスの効いてない料理も不味いですが、スパイスの効きすぎで食べられない料理はもっと悲惨です。

 


 

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